人は確かじゃない。
私が今読んでいる本と違って、ここに存在していない。
鴨長明は無常で、うたかただといったけど、
それはゆっくりな泡だ。
沼の泡だ。
私の言っている人の不確かさとは、コーラのような泡。
コップ一杯が、一人分だ。
空気と触れた面では、何十という泡が同時進行で消えている。
水中には、数百の泡が消える可能性をふくんでいる。
たえている。
どこにいるの?と誰かが尋ねた。
また誰かが、ここここ、と私を指差した。
けれど「ここ」にたどりついたとき、まだ私がそこにいるはずがない。
私がページをめくれば、めくる前の手は消えてしまう。
本を棚に帰せば、本を読んでいた私は消えてしまう。
どこに証拠があるだろう。
あったとしても、役にもたたない。
(不安は消えない。)
本は違う。
いつもそこにある。
いつでも決まった形で私を待っている。
(ありがとう。)
そんな本が、私はこころからうらやましい。
私からうらやましいと思われることは、同情するけど。
生まれ変わったらそうなろう。
本当にそう思った。
(退屈してしまいませんように。)
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